憧れの珈琲店

子供の頃に珈琲という飲み物に憧れ、大人になり通い始めた喫茶店。
ダークなごげ茶色の店内に、レトロなコーヒー器具、漂うコーヒーの香りと煙草の煙り。エプロン姿の寡黙なマスターが、ゆったりした時間をつくり出していました。
そんな喫茶店への憧れと想いが、珈琲屋になる元になったのですが、「自分が好きな珈琲の味を探す旅」は何年か続きました。
何処に出掛けるにも「自家焙煎店」や「名店の匂い」のするお店に立ち寄り、
「なるほど~この後味は好きだなぁ」とか「舌の上で甘みに変わるこの感じ~」なんて、メモと記憶に留めていました。

そんなある日、東京の珈琲店めぐりの最後に立ち寄ったのが「大坊珈琲店」。
何も知らないとは、今思えば怖いもの知らずだったのですが、店主がネルドリップしている目の前に座り、観すぎるのも失礼かとチラチラと♪しかも、私も家で焙煎してるんです~なんて話しかけて(^o^;)

そんな素人の私に、ちょっと違うよという感じながら、でも私の質問に「少しの大切な答え」をくださいました。
初めて訪れたのに「そんな気にさせない雰囲気とダークブラウンの店内」 そして「ひとつひとつのセンスと歴史を重ねた匂い」

今自分が何処に居るとか気にもせず、ゆったりとした時間を過ごせました。

そのまま仙台に帰ろうと東京駅を歩いているとき、ふと「舌の奥と喉のまわりにビターチョコの様なカカオ感」が漂ってました。
一時間近く経っても感じた珈琲の味わい…一生忘れません。

昨年末に惜しまれつつ閉店された「大坊珈琲店」。
閉店前に再び訪れ、自分の中に感じるものを再確認できました。

そしてまた、先日出版された「心のバイブル」。
これからふとした時に、ページを捲る事になりそうです。
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今まだ遠い憧れの味ですが、いつか少しでも…。

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